「to you」2025年8月号
令和7(2025)年7月25日(金)発行
令和7(2025)年7月25日(金)発行
昨年度公演の様子
©2021 ELEVEN ARTS STUDIOS /「太陽の子」フィルムパートナーズ
「IMAGINARIUM」(2022)©︎junaida
おばけ(妖怪)大集合
前回公演
『スムース・トーク』
イラスト/田中聡
佐々木 有紀さん(ささき・ゆき)
メゾソプラノ歌手
エリザベト音楽大学3年次に飛び級し、同大学大学院修士課程を首席で修了。
広島プロミシングコンサート、新進演奏家育成プロジェクト・オーケストラシリーズにて、広島交響楽団と共演。
公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団の留学助成金奨学生として、ボローニャとロンドンで研鑽を積む。モデナでは、マリオ・デル・モナコ・オペラ協会コンコルソ入賞、入賞者コンサートに出演。
これまでに、オペラ『イドメネオ』イダマンテ役、『フィガロの結婚』マルチェッリーナ役、『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・エルヴィーラ役、『コジ・ファン・トゥッテ』デスピーナ役、『カルメン』カルメン役、『蝶々夫人』スズキ役、『修道女アンジェリカ』公爵夫人役、『ジャンニ・スキッキ』ズィータ役などで出演。また、宗教曲やベートーヴェン『交響曲第9番』のソリストとしても幅広く活躍している。声楽を番場ちひろ、藤井美雪、M.ジョッシの各氏に師事。
2025年9月には、戦後80年を祈念するコンサートを、ハノーファー、ウルム、シュトゥットガルトにて開催予定。
幼いころからオペラに惹かれ、憧れ続けてきたメゾソプラノ歌手の佐々木有紀さん。この夏、名作喜劇のヒロイン、ロジーナ役を務めます。舞台への思いを伺いました。
■小学生の時に出会ったオペラ
私が初めてオペラを観たのは、8歳のときでした。そのときの衝撃は今でも忘れられません。歌声も照明も、舞台のすべてが美しく、目の前に広がる非日常の世界に心を奪われました。特に、マイクを通さない「生の声」が2階席にまでしっかりと届き、息遣いまで伝わってきたことに感動しました。高校生になると自分でチラシを集めて演目を選び、一人で劇場に足を運ぶようになりました。開演前、オーケストラのチューニングの音が響いてくる瞬間の、胸が高鳴る感覚は今でも鮮明に覚えています。
■登場人物一人一人に注目して
今回の『セヴィリアの理髪師』は、とにかく明るく、楽しく、そして美しい作品です。音楽を聴くだけでも心が弾み、きっと幸せな気持ちになっていただけると思います。
演出を手がける岩田達宗さんは、登場人物一人一人に深く向き合い、私たちキャストの個性と重ね合わせながら、その人物の存在感を引き出してくださいます。私もこれまでに何度か岩田さんの演出作品に出演していますが、一見“悪役”と捉えられがちな役柄であっても、その人生や背景がしっかりと見えてくる演出をしてくださるので、最初は気が進まなかった役でも、演じるうちにそのキャラクターが大好きになり、自分の大切なレパートリーになっていきます。
オペラは何百年も前に生まれた芸術ですが、描かれている感情や人間関係は、現代に生きる私たちにも通じるものばかりです。登場人物のなかに、自分自身や身近な人と重なるような存在が、きっと見つかると思います。日常生活でも、「この人ちょっと苦手かも」と思っていた相手と話してみたら、印象がガラッと変わった…という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。ほんの少しでも相手を知ろうとする気持ちがあれば、世界はもっと優しくなるはず。演じるうえでも、そうした感覚を大切にしながら、これからも舞台に立ち続けていきたいと思っています。
くにし珠萌(みほ)さんおすすめの一冊『やくそく ぼくらはぜったい戦争しない』
作:那須 正幹
絵:武田 美穂
¥1,980(税込)
出版社:ポプラ社
発売中
生涯をかけ平和を訴えた那須正幹が遺した物語
忘れたくても忘れられない人がいる。戦争を知らない。戦争の事実に目を背けてしまう。そんな人たちに読んでほしい絵本です。
児童文学作家の那須正幹さんらしい、とても読みやすく分かりやすい文で、戦争が残したさみしさが表現され、武田美穂さんの優しい絵が彩ります。悲しい思い出は、もう決して作らないと約束したくなる、心を打つ絵本です。
戦後80年のこの夏、この物語を音楽にしてお届けします。広島に縁のある作曲家 髙嶋圭子さんプロデュースによる音楽ユニット「ダモーレ」。メンバーにはNHK交響楽団オーボエ奏者の和久井仁氏、桐朋学園大学院大学教授チェロ奏者の銅銀久弥氏も。9月6日(土)17時よりWAKOゲバントホールにおいて「歌とオーボエ、チェロで紡ぐ平和への誓い」と題し、その中で、『やくそく ぼくらはぜったい戦争しない』を、丸子ようこさんによる朗読と音楽によってお届けします。
音楽と言葉が交差する“聴く絵本”をお楽しみください。
詳細はこちら
ソプラノ歌手ほか幅広く活動中。「声で絵を描く、心で色をつける」がモットー。
(株)ムジカ・カーサ代表。
そ~っと見守り中、日本初のマルミミゾウ出産 |
![]() 服部 佑紀さん (獣医師) |
ゾウの中でも、「マルミミゾウ」という種類のゾウをご存じでしょうか?マルミミゾウは、主にアフリカ西部から中央部の森林地帯や熱帯雨林に生息しています。同じアフリカ大陸に生息するサバンナゾウと比べると、マルミミゾウは体が小さく、耳がやや丸く小さいことや、牙がまっすぐ下に伸びる傾向があることなど、森の中での生活に適した姿をしています(写真①②)。
マルミミゾウは、現存するゾウの中で最も絶滅の危機に瀕したゾウの1種といわれています。現在、世界の動物園で飼育されているのは、わかっている範囲で3 頭のみで、そのうち2 頭が安佐動物公園(以下、当園)で飼育されています。当園では、マルミミゾウ2頭と、サバンナゾウ1頭を飼育しており、2 種類のゾウの違いを間近で観察することができます。特に注目なのは、マルミミゾウのメス「メイ」(写真③)が現在妊娠中で、出産を8月から10月に予定していることです。出産が無事に行われれば、日本で初めてのマルミミゾウの出産となります。妊娠しているゾウは、人間と同じように、定期的に超音波検査を受けています。(写真④)ゾウの赤ちゃんは生まれたときに約100kgもあるため、超音波で体全体をとらえるのは難しいものの、頭や足の動きなどは確認することができます。右の写真には、ゾウの鼻がくっきりと写っています。(写真⑤)検査中、その姿が確認できた瞬間、見ていた職員からは思わず「お!」と声が上がりました。
現在、園内ではマルミミゾウに関する企画展を開催中です。マルミミゾウの生態や妊娠の様子などを詳しく紹介していますので、もっとマルミミゾウについて知りたい方はぜひお立ち寄りください。最新情報は当園ホームページでもご覧いただけます。
AKI弦楽合奏団=弦楽オーケストラ=
1994年に発足したアマチュアの弦楽オーケストラ。30~80歳の初級者からベテランまで約30人、職業も音楽歴もバラエティ豊かなメンバーです。音楽を愛する気持ちを一つにして日夜、研鑚を積み、岡田倫弥先生の指導のもと月に2回の合奏練習でアンサンブルやハーモニーに磨きをかけています。楽しいながらも熱のこもった練習や依頼演奏会の様子を随時ホームページやFacebookで紹介。ぜひチェックしてみてください。
ホームページ
◆AKI弦楽合奏団第31回サマーコンサート
被爆80周年の夏、平和を祈念して開催するコンサート。オープニングはバーバー作曲「弦楽のためのアダージョ」。クラシック、映画音楽など名曲を織り交ぜた盛りだくさんのプログラムです。
指揮 : 岡田倫弥
時/8 月30 日(土)14:00~
会/安芸区民文化センター ホール
料/無料
問/津野TEL.090-2808-8158
詳しくはこちら
●表現の選択肢
7月号表紙のダンサー・振付家小谷ちず子さんの記事で、「軽々しく原爆に触れてはいけない」から「平和のために踊りたい」という気持ちの変化が響きました。私自身、こどもの頃は“ヒロシマ”という怖いデザインの片仮名表現が多かった原爆を受け止めるには重過ぎ、暗いイメージから逃れたい思いもあり、こども心にその後ろめたさも同時に感じていました。時代は変わり、反核を伝える方法として昨今はお笑いもあるようです。受け止め方はさまざまかもしれませんが、表現の選択肢が多くあれば、その中から自分に響いたものを選び、その本質的なメッセージを受け取れるのではないかと思いました。 (呉市 平和の鳩ぽっぽさん)
☆ 平和の鳩ぽっぽさんのおっしゃる通り、多様な形で表現し、広く伝えることができる時代になりましたよね。平和を願う人々の思いが芸術や文化の形でも世界中の多くの人の心に届くことを願っています。(編)
●映画にまつわるお話
「to you」を見て、福屋×八丁座プレゼンツ”シネマde トーク” へ行って来ました。映画が好きで、八丁座へは時々行っていましたので、映画が上映されるまでのお話はとても興味深かったです。上映作品が映画館で見られるまでのご苦労は、知らない事ばかりでした。また、映画館の内装のこだわりの話などから、映画を楽しめる場になっていることに納得しました。 (西区 ikukoさん)
☆ こだわりの映画館「八丁座」などを手掛ける蔵本順子社長が毎月開催されている映画のトーク会。映画は総合芸術というだけあって、知れば知るほど奥が深くて興味が尽きないですよね。この夏もぜひ“映画は映画館で”!(編)
●オクターヴ. へ行ってきました
毎号楽しみに手にしていますが、初めて投稿します。色んな文化イベントが楽しみで、休日にどこへ足を運ぼうかスケジュールを組むのに役立っています広告コーナーも楽しみで、以前から気になっていた「クラシックミュージックパブ オクターヴ.」へ初めて行きました。お勧めの樽生ドイツビールがとても美味しくて、真夏にピッタリです。 (東区 サマーサスピションさん)
☆ ドイツビールに本場のソーセージなど、提供される料理でヨーロッパへのプチ旅行気分を味わえそう。隣のスタジオでは本格的なクラシック演奏も定期的に行われていますので、通うのもいいですね。(編)
「Mail Box」に投稿してくださった方には抽選でプレゼントを進呈いたします。
❶オペラ『セヴィリアの理髪師』鑑賞券(2組4名様)
❷映画『太陽の子』鑑賞券(3組6名様)
❸ひろしま美術館『junaida 展「IMAGINARIUM」』鑑賞券(5組10名様)
❹ひろしま横川芸術祭「バリテューバアンサンブルの世界」(2組4名様)
投稿は、投稿フォーム、FAX、郵送で受け付けています。詳しくは「『Mail Box』への投稿はこちら」からご確認ください。
◆応募締切/8月10日(日)当日消印有効
(公財)広島市文化財団 企画事業課「to you」係
TEL.082-244-0750 FAX.082-245-0246