「to you」2025年5月号
令和7(2025)年4月25日(金)発行
令和7(2025)年4月25日(金)発行
ひと・こえ/藤川史人さん(映画監督) イベントニュース(広告)/はつかいち美術ギャラリー2025年度展覧会ラインアップ
イラスト/田中聡
藤川 史人さん (ふじかわ・ふみと)
映画監督
1985 年広島県広島市生まれ。特定の土地に一定期間暮らし、そこで生きる人々と映画制作を行ってきた。監督作に『過日来』(2012 年)、『いさなとり』(2015 年 PFF2015 観客賞・日本映画ペンクラブ賞、バンクーバー国際映画祭招待上映、リマ・インディペンデント国際映画祭グランプリなど)、『スーパ・ライメ』(2020 年リマ・アルテルナ国際映画祭国内部門グランプリ、パチャママ国際映画祭コンペ部門入賞など)、『ひかりのどけき』(2021 年)など。ほか、短編映画の制作や慶応義塾大学アート・センターとの共作などを行う。
藤川監督はペルーの標高約 4000メートルの高地で人々と生活を共にしながら、1年半をかけ映画を撮影しました。その作品が広島で初上映されます。上映に先立ちお話を伺いました。
■作品誕生のきっかけ
私が滞在したオコルーロは、リャマやアルパカを飼養する牧畜民のコミュニティでした。小学校の通学に歩いて数時間かかる子どもや先生が学校に寝泊まりしていて、私も寄宿させてもらいました。週末はみんな家に帰り学校は閉鎖されるので、行くところのない私は一番仲の良かったスーパ・ライメ一家のお世話になりました。平日は学校、週末はライメ家で過ごすようになり2~3カ月たった頃、「実は映画を撮りたいんだ。できればあなたたちの暮らしを撮らせてほしい」と打ち明けると、すぐに彼らは承諾してくれました。そうやって彼らとの撮影が始まりました。
■忘れられない高地の生活
標高 4000 メートルでの暮らしは想像を絶していました。まず高山病にかかります。1 週間もすれば慣れますが、空気が薄いため少し小走りしただけでも視界が真っ白になりしゃがみ込みます。他に大変だったことは寒さです。太陽が出ていても急に吹雪き、夜は-10℃以下になりいつも震えていました。
感動したことはたくさんあります。特に忘れられないのはトイレ事情です。基本的にオコルーロの家にはトイレがなく、毎朝決まった場所で用を足します。朝、しゃがみ込んで用を足しながら遠くの山の稜線から朝日が昇ってくのを眺める時、毎回感動していました。また、リャマやアルパカをと畜して食べるのですが、さばきたての肉の新鮮さと芳醇な味は忘れられません。
■地域に深く関わる理由
地域にこだわって制作することで、自分の人生と映画作りが溶け合うような感覚になります。それが自分の中ではとても重要だと思っています。そして何より、他者とかかわることの重要さをいつも教えてもらっている気がします。他者というのは必ずしも人間だけに限ったことではありません。気候や動物。風で擦れる柳の梢こずえや散りゆく桜の花びら、その下で動きまわるアリやてんとう虫、そういったものたちとかかわっていたいと常々思っています。
向井駿介さんのおすすめDVD『セッション』
『セッション』
¥1,980(税込)
発売・販売元:ギャガ
©2013 WHIPLASH, LLC.
ALL RIGHTS RESERVED.
Blu-ray&DVD発売中
勇気、苦悩、その先へ。音楽を通して感じるもの。
多くの映画は1 本の作品の中に苦悩と克服があり、その先の華やかなエンディングが魅力です。しかしこの映画は、少し異なる印象です。主人公はジャズドラマーを夢見て音楽学校に入学した若者です。僕にはその姿がものすごく受動的に見えました。自分の意志をしっかり表すことがなく、他人の意見に影響されて行動しているよう。そんな主人公が、レッスンの中で自主性や主張を厳しく求められ、そして…!
大切な一歩を踏み出す時に必要な勇気や苦悩や怒りが、主人公にも登場人物にも詰まっています。
音楽はもちろん、人生の色んな場面で必要とされるものが、この映画の中にあると思います。
湯来町(佐伯区)を拠点に和太鼓のプロとして活動。異ジャンルとのセッションを得意とし和洋楽器や書道などと共演。5/6(火・休)街かどフェスティバル「奏志奏愛(そうしそうあい)」に出演。
詳細はこちら
ゾウ? シカ? ウシ? ロバ? ウマ? シフゾウって一体…。
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![]() 清水 小波さん |
“シフゾウ”という動物を知っていますか? 名前に“ゾウ”とついているので、あの鼻の長いゾウの仲間を思い浮かべる方も多いかもしれません。写真の立派な角を見て気がついた方もいると思いますが、シフゾウの正体は中国原産のシカの仲間です。宮島などで目にするニホンジカの体長が1.0~1.6m、体重が40㎏~100㎏程であるのに対して、シフゾウの体長は1.5m~2.0m、体重が150㎏~200㎏とかなり大型のシカです。シフゾウという名前は「4つの動物の特徴をもつが、そのどれでもない動物」という意味で「四不像(シフゾウ)」が由来となっています。角はシカ、蹄ひづめはウシ、顔がウマ、尾はロバ、確かに見比べてみると、どの動物とも似ており、不思議な雰囲気があります。
安佐動物公園で飼育しているシフゾウのアスカ(雄)
右角が2024 年12 月31 日に、左角が2025年1月3日に落ちました。右角2.4kg、左角2.6kgでした。展示場前では触れて観察できるよう実物を展示しています。
角の成長過程。日に日に伸び、5~6月にかけて完成します。角は骨組織でできていますが、成長途中は皮膚で覆われて、成長が止まると硬くなります。
実は、野生では約1000 年~2000 年ほど前に絶滅しています。唯一生き残っていたのが、北京の「南苑」という皇帝の狩猟場で飼育されていた個体群でした。フランスの宣教師、David さんがたまたま南苑でシフゾウを見つけたことがきっかけで、ヨーロッパなどにシフゾウが送られるようになり、動物園などで飼育・繁殖した個体が現在まで命をつないでいます。繁殖した個体は本来の生息地に戻され、現在ではおよそ5000 頭にまで増加しています。動物園がなければ現在の私たちは生きたシフゾウを見ることはなかったかもしれません。
野生で増えているシフゾウですが、日本で飼育しているのは3園館4 頭のみです。「口蹄疫」というウシやブタなどがかかる感染力の強い伝染病の関係で、発生地域からの動物移動が制限されています。そのため今後、シフゾウが日本で見られなくなってしまうかもしれません。
当園のシフゾウ展示場周りは緑が多く、とても静かなのでベンチに座ってゆっくりと過ごすことができます。ぜひシフゾウの不思議さを体感しに来てみてください。
広々とした空間のシフゾウ展示場。
「安佐ZOO に暮らす動物たち」は3ヶ月毎に掲載します。
合唱団そら=混声合唱団=
1989年設立の混声合唱団。20代~80代の約35名が、創立者でもある難波憲二さん指導の元、純正調のハーモニーを目指します。全員の声が調和した時の達成感、満足感はえも言われぬ喜びがあるそう。団名は音階の「ソ・ラ」、禅の「空」、大自然の「空」を連想させるなど、音楽に対し一つのものに捕らわれない「融通無碍」の心をイメージしています。
練習予定がホームページに記載あり。見学希望など、お気軽に問い合わせを。
◆第7回バッハ《ミサ曲ロ短調》全曲演奏会
管弦楽や独唱者と約2時間の大曲を披露。圧倒されるようなスケール感をお楽しみください。
指揮 : 難波 憲二
独唱 : 昆野智佳子、中川詩歩、野間愛、田尻健、平田昌久
管弦楽 : Sola Consort
時/5月18日(日)14:00~
会/安芸区民文化センター ホール
料/1,500円
問/合唱団そら✉sola@enlair.jp
詳しくはこちら
●海の仕事紹介クルーズ
広島みなとフェスタの海上イベント「海の仕事紹介クルーズ」に中学生の息子と参加した。「瀬戸ブルー」に乗船し宇品港を出発して呉港へ。途中、赤い橋が美しい「音戸の瀬戸」も眺めることができて感激した。呉ではビューポート呉で館内展示物についてのミニ講座を受講。戦艦大和の巨大さをマツダスタジアムに例えるなど興味深い講座だった。クルーズとして楽しむだけでなく海事産業についても関心が持てる一日になった。 (佐伯区 sinceさん)
☆ 戦艦大和とマツダスタジアムの大きさを比較するなんて、新しい視点ですね。呉では本物の潜水艦の中を見学できる施設がなかなか面白いので、またゆっくり行ってみてくださいね。(編)
●圧倒された生演奏体験
「to you」4月号に以前市民サロンコンサートに出演された演奏家の方の記事を見つけました。音楽宅配便という活動があるのですね。そういえば中学生の時芸術鑑賞の時間があり音楽隊の方が来られていたのを思い出しました。学校の狭い体育館を揺るがすほどの力強い演奏に圧倒されたものです。今も音楽が好きなのはこのような経験があったからかもしれません。この春は自分でも何か楽器に挑戦したくなりました。 (安佐南区 きょろちゃんさん)
☆ 小学校に演奏家を派遣し、子どもたちの目の前で本物の音色や音楽の知識を届ける「音楽宅配便」。きょろちゃんさんのように、今の子どもたちにとっても貴重な体験ですよね。楽器演奏、毎日が楽しくなりそうです♪(編)
● to you4月号「私のおすすめ! BOOK」を読んで
内山望美さんおすすめの一冊『音楽力』に興味を持ちました。「音楽は愛である」という言葉に惹かれたからです。今、高齢の両親と同居しており、日々通じ合えない会話をしながら、フルタイムの仕事に通っています。疲れている時に暴言を吐かれると、人間をやめてしまいたいと思う事もありますが、家族みんなが心穏やかに過ごせると良いと思う今日この頃です。これからも笑顔と感謝の心を忘れずに頑張ります! (南区 703 さん)
☆ どんなに分かり合えないことがあっても音楽の力で気持ちが通じ合える、音楽は本当に凄いパワーを持っていますよね。時々はご自身のお好きな曲も楽しみつつ日々を過ごしてください。(編)
「Mail Box」に投稿してくださった方には抽選でプレゼントを進呈いたします。
❶志鷹美紗ピアノリサイタル鑑賞券(3組6名様)
❷遊び座 能の会 能「山姥」(5名様)
❸ひがし区アートファーム邦楽第6回きらり★邦楽「邦楽囃子 笛の魅力」鑑賞券(1組2名様)
❹広島映画サークル上映会「夕凪の街 桜の国」鑑賞券(3組6名様)
投稿は、投稿フォーム、FAX、郵送で受け付けています。詳しくは「『Mail Box』への投稿はこちら」からご確認ください。
◆締切/❶5月2日(金)必着/❷❸❹5月10日(土)当日消印有効
坂田 知胡
男女関係なく
仲良くて
ケンカしても
すぐ握手
たくさん発表する子
運動神経ばつぐんの子
絵が上手な子
字がきれいな子
それぞれみんな個性的
よく言うでしょ
「みんなちがって、みんないい」
それがこのクラス
この教室
この仲間
クラスは
とても楽しい
さあ
今日も行こう
世界に一つの私のクラスへ
(第33号ジュニアの部 小学生・高学年・詩部門)
(公財)広島市文化財団 企画事業課「to you」係
TEL.082-244-0750 FAX.082-245-0246